どうも、ぼんしゅー(@bonshuuuuu)です。
FUJIFILMのラージフォーマットカメラ、GFXシリーズ。
その真価を発揮するのは純正レンズですが、そんなにほいほい買えないという方(僕です)、純正には使いたい焦点距離や明るさのレンズがないという方、手軽に様々な写りを楽しみたいという方も多いのではないでしょうか。そんなGFXユーザー、また検討中の方々の強い味方といえば、オールドレンズですよね。
中判カメラのレンズはもちろん問題なく使用でき、35mmフォーマットのレンズでもラージフォーマットの使用に耐えうるものがあります。
そこで気になるのが、実際の描写や周辺減光・ケラレといった写りの面と、装着した時のスタイル、そして使い勝手ではないでしょうか。
というわけで、僕が実際にオールドレンズを使ってみてわかったことや印象をご紹介するシリーズ、題して「GFX × オールドレンズ」。
今回使用するレンズは、「MC W.ROKKOR 28mm F2.8」です。
それではどうぞ。
使用する機材
カメラボディ:GFX50SII
マウントアダプター:K&F CONCEPT
レンズ: MC W.ROKKOR 28mm F2.8(35mm判換算約22mm)
このレンズについて
今回ご紹介するのは、MINOLTAの広角単焦点レンズ、MC W.ROKKOR 28mm F2.8。
こちらはMINOLTAのフィルム一眼レフ用ミノルタマウントのレンズですね。後にAFに対応したαマウントに変更されますが、それより前のMF時代になります。ミノルタマウントには古い順にオートロッコール、MCロッコール、MDロッコール、New MDレンズとバリエーションがあるようですが、マウントの形状はどれも同じですね。
今回のレンズはMCロッコールということで、絞り値伝達爪を設けて開放測光が可能となった世代とのこと。とはいえマウントアダプターを介してミラーレスカメラで使うなら、この違いはあんまり関係ないですね。
ミノルタマウントの28mmには他にも、F3.5、F2.5、さらにF2と明るいレンズもあるみたいですね。またライカMマウントのM-ROKKOR 28mm F2.8、高級コンパクトカメラTC-1のレンズをL39マウント化したG-ROKKOR 28mm F3.5などもあります。F2、F2.5、M-ROKKOR、G-ROKKORはどれも希少だったりして高価なんですね。これらと比べるともはや特徴がないのが特徴といえるかもしれません。
ちなみに28mm F2.8というスペックのレンズは、MDロッコール、New MDレンズ、さらにはαマウントにもあります。AFのαマウント用のは置いておいて、MDロッコールとNew MDレンズとは何が違うのか。
まずMCロッコールは、フィルター径55mm、7群7枚で最小絞りがF16です。MDロッコールになるとF22が使えるようになり、その中でも後期の製品はフィルター径が49mmに。サイズダウンが図られたわけですね。そしてNew MDレンズになると、前期は同様ですが後期に5群5枚の構成になるんだとか。うーん、ややこしい。
どれも最短撮影距離が0.3mと変わらないので、使い勝手としては正直どれも変わらないのではないでしょうか。中古だから個別の状態にも左右されるでしょうし。ただし、ラージフォーマットセンサーのGFXでの使用においては口径の変更もケラれ等に影響する可能性があるので、お気をつけください。機会があれば比べてみたいですね。
今回購入したのは中古カメラを扱う写真屋さんで、5,000円ぐらいだったかな?特段希少なレンズでもないので、多分これぐらいで買えると思います。
外観
それではGFX50SIIに装着してみましょう。
レンズ自体はコンパクトで、形状的にも変わったところがなく、いたって普通。58mm F1.2のフォーカスリングは金属製よりもゴム製の方が似合うかなと思ったのですが、このレンズについてはレトロなスタイルの方が似合いそう。存在しないので叶わぬ願いですが。
フィルター径は55mmですが、レンズ自体は開放F2.8ということもあって小口径ですね。ついつい覗き込んで嬉しくなるタイプではありません。普通の人はそんなことしないか。
絞り環はFA Limitedのようにパキパキした感じはなく、かといってカチカチでもない微妙な感触。あえて表現するなら、くぐもった音でポキポキって感じ(?)ですかね。簡単に回るような固さではないので、悪くないと思います。
周辺減光・ケラレ
続いてオールドレンズをGFXで使う上で重要な、周辺減光・ケラレを見てみます。
絞り開放
F5.6
毎度のことではありますが、白い壁を撮るという条件だと実際の使用時よりも厳しく見えてしまいますね。後ほどの作例の方も合わせて参考にしていただければと思います。
絞り開放、F5.6ともに無限遠の方が減光が大きく出ていますね。ケラれはありません。遠景を撮りたい広角レンズなので、影響は少なからずあるといえそうです。四隅に暗めだったり色の濃いものを配置するなど、工夫することも考えた方がいいかもしれません。いつもはここまでなのですが、広角レンズなのでもう1段、F8に絞ったものも見てみましょう。
F8
F8まで絞ると減光もかなり少なくなり、これは実用的と言っていいのではないでしょうか。これぐらいなら気にならない場面も多いでしょうし、アスペクト比を変えて撮影する方なら問題にならなくなってくると思います。
印象
ここからは実際に使用して感じたことを。
まず言いたいことは、このレンズはラージフォーマットでも非常に優秀だということ。35mm判用レンズをラージフォーマットセンサーで使うと、本来の設計範囲外を写すことになるので条件が厳しくなります。特に広角レンズはただでさえ広いのでより難しいと思うのですが、ケラレがないだけでなく周辺減光も気にならないレベル。
そして現代では少し物足りないF2.8ですが、その分開放からでも解像感は高く、十分使えると感じました。広角なので歪みは出ますが、パースにも気をつかう必要が出てくる画角ということでいずれにせよ注意は必要ですね。気になる方は後処理で対応しましょう。
最短撮影距離0.3mはシンプルに便利です。
手持ちでも余裕ですね
MINOLTAのレンズはイメージサークルの広いものが多いと聞いていましたが、噂に違わぬ性能ですね。これで28mmという平凡な画角から35mm判換算約22mmと超広角に迫る画角になり、一気に個性的なレンズに。ラージフォーマットの超広角域対応のレンズは数も少なく非常に高価で、中判フィルムカメラ用レンズにも選択肢がほぼない状況。このサイズ、価格というのもあって、貴重な1本だと言えそうです。
唯一気になるのが、ゴーストの出やすさ。画面内に太陽などが入る場合だけでなく画面外からでも影響があり、かなり派手目にゴーストが出てしまいます。画角が広い分影響が出る場面も多い…。それも味と思えることもありますが、逆光大好きな僕としては結構悩ましいところ。
おもしろいけど風景撮影には邪魔かも…
あと正直拡大した際の画質、解像感はイマイチですね。最近中判フィルムカメラ用レンズを使っていたので、そっちで目が慣れてしまったのかも。とはいえ広角なので、特定の被写体をアップにするよりも画面全体の情報量で魅せるなどの使い方になると思うので、普段は気にならないかな。写真をアップにして細かくチェックすると、許せない方は出てきそうです。
FA 31mm F1.8 Limitedとの比較
さて、広角レンズの選択肢として使ったことのあるレンズに、PENTAXのFA 31mm F1.8 Limitedがあります。こちらはPENTAXのラスボスとも呼ばれた銘玉で、昨年の個人的ベストバイレンズに選んだ 1本です。格も値段も違うレンズですが、ちょっと比較してみたいと思います。
まず画角ですが、FA 31mmは35mm判換算約25mmと若干狭め。広角側の3mmはとても大きな差ですね。とはいえ広いと余計なものが写り込んでしまいがちなので、普段使いにはFA 31mmの方が使いやすいかな。拡大したときの解像感はFA 31mmに軍配が上がります。
絞りは1段とちょっとの差ですね。広角でF2.8だとそこまでな気がするんですけど、ラージフォーマットならそれなりにボケます。ただ、個人的にはボケよりもシャッタースピードの方が影響が大きくて。F1.8の方がやっぱり余裕がありますよね。GFX50SIIの手ぶれ補正は優秀ですが、意外と気になります。
周辺減光はFA 31mmの方がちょっと強めでしょうか。気にならない場面も多いですが、空とか撮ると目立ちますね。周辺の歪みはFA 31mmの方が強く感じます。ROKKOR 28mmの方は意外とそうでもないのですが、先にも書いたようにパースが強いので結局注意は必要なので。
価格はかなり差がありますね。ROKKOR 28mmが約5,000円に対し、FA 31mmは中古でも60,000円ぐらいします。リニューアルされたHD版が新品で買えるのは強みですが、10万円超えちゃいます。もちろんその分質感も高く満足度も高いレンズなんですけど、ROKKOR 28mmのコスパが光りますね。
作例
まとめ
というわけで、GFX × オールドレンズ、今回は「MC W.ROKKOR 28mm F2.8」をご紹介しました。
決して有名ではなく、スペック的にも特筆されることもなかったであろうこのレンズ。しかし35mmのフィルム・センサーではわからなかったイメージサークルの広さを持ち、ラージフォーマットで使うと一気に個性的になります。
ラージフォーマット対応の広角レンズは種類が少なく、サイズも価格もヘビー級のものが多い中、このコンパクトさと安さでここまで使えるのはかなり貴重ではないでしょうか。これぞ「GFX × オールドレンズ」の本領発揮ですね。
さすがに細かいところまではラージフォーマットに耐えられませんが、コスパの良さは間違いなし。広角にお悩みのGFXユーザーの方、見かけたら確保してみてはいかがでしょうか。
ではまた。
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