どうも、ぼんしゅー(@bonshuuuuu)です。
FUJIFILMのラージフォーマットカメラ、GFXシリーズ。
その真価を発揮するのは純正レンズですが、そんなにほいほい買えないという方(僕です)、純正には使いたい焦点距離や明るさのレンズがないという方、手軽に様々な写りを楽しみたいという方も多いのではないでしょうか。そんなGFXユーザー、また検討中の方々の強い味方といえば、オールドレンズですよね。
中判カメラのレンズはもちろん問題なく使用でき、35mmフォーマットのレンズでもラージフォーマットの使用に耐えうるものがあります。
そこで気になるのが、実際の描写や周辺減光・ケラレといった写りの面と、装着した時のスタイル、そして使い勝手ではないでしょうか。
というわけで、僕が実際にオールドレンズを使ってみてわかったことや印象をご紹介するシリーズ、題して「GFX × オールドレンズ」。
今回使用するレンズは、「AI Micro-Nikkor 55mm F2.8S」です。
それではどうぞ。
使用する機材
カメラボディ:GFX50SII
マウントアダプター:K&F CONCEPT
レンズ::AI Micro-Nikkor 55mm F2.8S(35mm判換算約44mm)
このレンズについて
もっと近くで、もっと大きく撮りたい。そんな願いを叶えてくれるのがマクロレンズですよね。昆虫を撮影される方には必須のレンズでしょう。
Nikonにおけるマクロレンズは、他社とは異なりマイクロレンズと名付けられています。僕も気になっていたのですが、これはNikonの開発者の方々が定義に厳密に従ったからなんですって。マクロ写真の定義は、「原寸大以上の倍率で撮影する写真」なんだそうですが、当時の近接撮影用レンズはそこまで大きく写すことができませんでした。そこで開発者の方々はその定義に従い、マクロレンズではなくマイクロレンズと名付けたのですね。Nikonらしい実直さだと思います。その辺りの秘話はニッコール千夜一夜物語で語られています。おもしろいですよね。
今回ご紹介するAI Micro-Nikkor 55mm F2.8Sは、Nikonマイクロレンズの7代目。Sの付いていない6代目から設計が一新され、解放F値が3.5から2.8となりました。6代目から7代目発売までの間は1年しかなく、マイナーチェンジ程度で仕様としては同様だったようですね。1981年から2020年までという長きに渡って販売された紛れもない銘玉で、撮影倍率は1/2倍ですが接写リングで等倍になります。
画角的にも開放F値的にも、接写以外にも便利なスペックですよね。マイクロニッコールは複雑な形の漢字を複写することを目指して設計されており、その解像力は折り紙付き。そのせいもあって描写が硬いと思われがちですが、果たして。
購入価格は正確には覚えていませんが、1万円は切っていたと思います。販売期間も長いので、入手性も良いのではないでしょうか。
外観
それではGFX50SIIに装着してみましょう。
レンズ自体が細身で、マウント部から先端までほぼ径が変わりません。この点は見た目として高評価で、GFマウントは巨大なのでマウントアダプターを使用するとくびれが際立ってしまうんですよね。 特にAF 85mm F1.4Dのようにマウント部から大きく膨らむタイプは顕著で、個人的には好みではありません。Fマウントは昔からあるので、径が小さめですよね。
マイクロレンズということで、無限遠と最短撮影距離でレンズがかなり伸びます。7cmから10cmちょいと約3cm変わるので、最短距離では見た目的には不恰好に。とはいえ、撮影時だけなので気にする場面は少なく、問題ないでしょう。接写リングを装着するとかなり長くなります。普段つけるものではないのでギリ許せるかなって感じです。
また、鏡筒先端から奥まったところにレンズがあるので汚れにくく、フードも必要なさそうです。フードは余計な光が入り込まないようにするのに必要ですが、ラージフォーマット用に設計されていないレンズだとGFXでの使用はケラレの原因になってしまう場合があります。フードならつけなければいいだけですが、このレンズの場合は外せないので、そこがどう影響するかですね。
周辺減光・ケラレ
続いてはGFXで使用する上で最も気になるところ、周辺減光やケラレについて見てみましょう。
絞り開放
F5.6
絞り開放、F5.6ともに周辺光量はそこそこ落ちています。ただし、毎度のことですが室内で白い壁を撮影しているという環境によるところが大きいので、実際の使用時にはそこまで気になりません。レンズの構造による影響は心配したほどではなく、一安心です。
気になるのは減光の形。F5.6の最短距離で顕著ですが、十字のように減光しています。理由はよくわかりませんが、他のレンズのような円形ではないので違和感がありますね。これのせいで困るということは少ないと思いますが、不思議です。
印象
このレンズを一言で表すなら、「便利」ですかね。
まず驚いたのがケラレや周辺減光がかなり少ないこと。先のような条件で撮影すると目立つものの、使用時には気にならないと思います。それでも気になるなら現像時に補正してあげてください。
解像感や描写については、個人的にはGFXのラージフォーマットでの使用にも十分に耐えると感じました。また、純正マクロレンズのGF120mmが30万円オーバー!なかなか手が出そうにないおで、Micro-Nikkor 55mmのお手頃な価格はめちゃめちゃありがたいです。
AmazonだとGFレンズの価格が軒並みおかしくなってますね。なんでなんだろ
僕の中では物撮り用のレンズとしての役割が強いので、実はほとんど外では使ってませんでした。今回レビューをするにあたって、普段撮っているレンズの写真ばかりではよくないなと思って近所を試し撮りしたのですが、全く問題ないですね。
心配していた描写の硬さについては、いかがでしょう。さすがにFA77mmやGF110mmのようなレンズと比べたら硬いかもしれませんが、十分ではないでしょうか。開放F値が小さくないのでとろけるようなボケは得られませんが、寄れるのでボケを大きく見せることは可能です。純正の標準単焦点レンズであるGF63mmも同じF2.8ですし、そこまで気にするほどでもないでしょう。その分ピント面の緻密さやシャープさは十分で、さすがNikonですね。
唯一気になるのは逆光時。フレア、ゴーストともにそこそこ発生しますね。せっかくの緻密さが緩んでしまうのは残念です。そして、ガッツリ逆光の際に画面隅が白くなってしまうことがあります。理由はよくわからないのですが、鏡筒先端からレンズまでの間で反射してしまってるのかも。周辺減光なら中心が際立つのですが、この現象の場合はそちらに目がいってしまいますよね。まあでもこれはこれでオールドレンズっぽいし、ニッコールレンズの堅物感とは裏腹にギャップがあっていいかもしれないですね。
作例
まとめ
というわけで、GFX × オールドレンズ、今回は「AI Micro-Nikkor 55mm F2.8S」をご紹介しました。
近接性能の高いマクロレンズがあると表現の幅が広がりますし、活躍する場面も多いので、1本は持っておきたいですよね。Nikonのマイクロレンズ、まさかGFXでもここまで実用的だとは思いませんでした。純正レンズが高価なので、お手頃価格で使い勝手が良いのはまさに救世主。改めてNikonのレンズの良さを体感しました。
それでいて、逆光にちょこっと弱いのもギャップがあっておもしろい。販売年数も長く手に入りやすいレンズだと思いますので、他にマクロレンズを持っていない方にはおすすめです。ぜひ使ってみてください。
ではまた。
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