どうも、ぼんしゅー(@bonshuuuuu)です。
FUJIFILMのラージフォーマットカメラ、GFXシリーズ。
その真価を発揮するのは純正レンズですが、そんなにほいほい買えないという方(僕です)、純正には使いたい焦点距離や明るさのレンズがないという方、手軽に様々な写りを楽しみたいという方も多いのではないでしょうか。そんなGFXユーザー、また検討中の方々の強い味方といえば、オールドレンズですよね。
これまでは35mmフルサイズ用のオールドレンズをGFXに装着した時の使い勝手をご紹介してきましたが、本来のイメージサークルより大きいセンサーに装着するためどうしても無理が出てきます。そうなると、ラージフォーマットセンサーよりもさらに大きな中判フィルム用に設計されたレンズこそ、GFXに装着するオールドレンズの本命でしょう。種類にもよりますが、中判用のレンズもお手頃なものが多いですからね。純正に比べればお財布にも優しいです。
というわけで、僕が実際にオールドレンズを使ってみてわかったことや印象をご紹介するシリーズ、題して「GFX × オールドレンズ」。
今回使用するレンズは、中判フィルムカメラ用の「ZENZANON 100mm F2.8」です。
それではどうぞ。
使用する機材
カメラボディ:GFX50SII
マウントアダプター:Fotodiox PRO(BRONICA S→EOS)/ K&F CONCEPT(EOS→GFX)
レンズ: ZENZANON 100mm F2.8(35mm判換算約80mm)
このレンズについて
今回ご紹介するZENZANON 100mm F2.8は、ZENZABRONICA S2やECなど、6×6判フォーカルプレーンシャッター機用のレンズです。一見何の変哲もないレンズですが、ブロニカユーザーには有名な名玉なんですね。
その理由が、ゼンザノン銘でありながら実は「東京光学」製のレンズだということ。それまでのブロニカには基本的にニッコールレンズが供給されていましたが、時代の流れで次第に難しくなり、他の会社からOEMで提供してもらうようになったみたいですね。
ブロニカで使用すると非常によく写り、先の東京光学製ということもあって今でも人気の高いレンズのようです。
やっぱり大口径は美しいですね
外観
それではGFX50SIIに装着した姿を見てみましょう。
BRONICA SマウントからFUJIFILM Gマウントに直接変換するアダプターがない(見つけられてない)ため、EOSマウント変換を挟む形になっています。そのため、マウントアダプター同士の繋ぎ目でクビレが生じてしまっていますね。
また、BRONICA S→EOSマウントアダプターに三脚座がついています。これは正直邪魔。取りたい。
あとは中判フィルム一眼レフカメラ用レンズ全般に言えることですが、撮像面までの距離があるので、どうしてもマウントアダプターで距離を稼ぐことになります。そのため、アダプター部分に何もないエリアができ、間抜けな感じになっちゃうんですよね。
レンズ自体は口径も大きく、GFXとのマッチングも悪くないのですが、トータルで見ると個人的にはいまひとつかなぁ、と。GFXとZENZABRONICA ETR用のマウントアダプターでも思いましたが、デザイン面でもうちょっとマッチするようにしてくれたら嬉しいかなと思います。
まあでも、装着できるだけでありがたいですし、肝心なのは描写なので!
EC-TLにつけるとこんな感じ
一点注意しなければいけないのが、ブロニカの6×6判フォーカルプレーンシャッター機用のレンズにはピントを合わせるためのヘリコイドがなく、別のパーツになります(一部例外はあります)。GFXにもレンズ単体では装着できず、ヘリコイドユニットも一緒に装着しないといけません。フィルムでブロニカを使っている方は付属しているので問題ないかと思いますが、レンズを単体で手に入れても使えないことは理解しておく必要があるでしょう。
周辺減光・ケラレ
これまでは35mmフルサイズ用レンズだったので周辺減光やケラレがありました。しかしこのレンズは6×6判用レンズということで、ラージフォーマット(44×33mm)よりも広い範囲をカバーしており、その心配はありません。
むしろ使用する範囲が狭くなることで、性能の良い中央部分だけを使えます。大きいフォーマットのレンズを、小さいフォーマットで使用する際のメリットのひとつですね。
印象
それでは実際に撮影してみた印象を。
描写が繊細
まずは評判の描写力。とても繊細だなと感じました。
純正レンズのように、どこまで拡大しても解像しているようなバキバキさはないものの、とても細かく写っています。特に髪の毛やまつ毛などは、さすが中判フィルム用レンズだなと思わせる繊細さだと感じました。
また、僕が持ってるレンズの状態のせいかもしれませんが、ピント面にちょっとベールがかかったような感じもありますね。
そしてありがたいのが、周辺の画質が落ちないこと。本来の想定より狭い範囲しか使ってないので当たり前ですが、35mm判用レンズに比べて余裕が感じられますね。
ボケないようでボケる、ようでボケない
「センサーがデカい割にボケない」でお馴染みのGFX。このレンズについても、開放F2.8ということで思ったよりはボケないかなと感じます。いや、ボケてはいるんですけど、とろっとろにはならずに背景が程よく残る感じかな。この辺りは開放F値が小さい35mmフルサイズ用レンズの方が有利ですね。
ただ、ピント面は薄い。あんまりボケない気がするのに、ピントは外れる。うーん、難しい。
まあでも中判フィルムのような空気感のある描写って、デカいボケが必須なわけではないですよね。ボケるのは楽しいですけど、中判フィルム用レンズでしか出せない空気はあると思います。感覚的な話ですが。
伝われこの空気感…!
最短撮影距離が長い
焦点距離が100mm(35mm判換算約80mm)ということで、もともと便利な画角ではないこのレンズ。さらに最短撮影距離が0.98mと、なかなかに長いです。
お察しの通り、テーブルフォトなんかはかなり厳しい感じですね。複数人で席に着いた際に、対面の人の料理とかならギリギリ撮れるかな?
結構ヤバい体勢で撮ってます
BRONICAのボディで使う分には35mm判換算約55mmと標準域になり、1本である程度賄える感じですが、GFXだと全てを任せるには厳しいものがあります。
何を撮っても良く写りますが、描写の感じからはポートレート向きかなと思いますね。
ちょっとフリンジが出る
ぱっと見ただけではわかりにくいですが、よく見るとちょっとフリンジが出てる気がします。パープルはそんなに目立ちませんが、グリーンが結構気になるかも。色の出方についてはカスタムでホワイトバランスを弄ってるので、そのせいもあるかもしれません。
とはいえ、FA Limitedほど酷くはないです。個人的にはあまり重要視してないポイントですし、出てもそんなに酷くないので許容範囲ですね。
見た目も含め、結構マイナスなことを中心に書いてしまいましたが、実際にはそんなに悪い印象はありません。
撮影した写真を見れば、その描写の良さにどのマイナス要素も忘れてしまうぐらい些細なものだと思います。
さすがの描写に他のことは気にならなくなりますよ!
作例
まとめ
というわけで、GFX × 中判オールドレンズ、今回は「ZENZANON 100mm F2.8」をご紹介しました。
フィルム時代から評価が高いこのレンズ。GFXに装着してもその素晴らしさは十分感じられると思います。何より中判フィルムカメラ用レンズなので、ケラレや周辺減光の心配がありません。素晴らしい!
35mmフルサイズ用レンズでも素晴らしい写りをするレンズはたくさんありますが、中判フィルムカメラ用はまた一味違った空気感があると個人的には感じます。人気レンズは高価ですが、物によってはかなり低価格で購入できます。このレンズに限らず、選択肢として検討する価値は大いにあるでしょう。特にZENZABRONICAのレンズはお買い得ですよ。
今後も、GFXに中判フィルムカメラ用レンズを装着してレビューしていければと思います。
ではまた。
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