どうも、ぼんしゅー(@bonshuuuuu)です。
使ったことのあるフィルムカメラを紹介する、フィルムカメラレビュー。今回は見るからにクラシックな中判フィルムカメラ「小西六 Pearl IIb」をご紹介します。
もはや骨董品と思われるような佇まいのカメラですが、今でも十分使うことができますし、侮れない描写をしてくれますよ!
それではどうぞ。
Pearl IIbとは
まずは今回ご紹介する「小西六 Pearl IIb」が、どんなカメラなのかをまとめておきます。
小西六とはカメラ・写真フィルムメーカーのコニカのこと。コンパクトカメラのC35や、「生きているファインダー」を搭載したIIIA、またレンズ交換式のレンジファインダーカメラ ヘキサーRFなどが有名でしょうか。いずれも、搭載しているレンズがよく写ることでも知られているかと思います。
小西六/コニカのカメラはデザインが良いですね
そんな小西六からPearl IIbが登場したのは、約60年前の1951年。6×4.5判の中判フィルムカメラ、Pearlシリーズの2世代目、Pearl IIのマイナーチェンジ版になります。
特徴はやはり、その機構でしょう。蛇腹を取り入れたスタイルは、今となってはとてもクラシックでレトロ。正面の蓋部分を開ける際にバネの力を利用しているので、スプリングカメラと呼ばれます(「飛び出す」という意味のドイツ語「springen」からきているとも言われています)。
ピントリングと距離計が連動し、レンズには評判の良いヘキサーを搭載。Pearl IIとの違いは、シャッタースピードが少し遅いのと被写界深度表示の連動が無くなったところになります。機能的に若干落ちますが、今となっては正直大差ありませんね。
ちなみにPearlシリーズはIVまで登場しました。Pearl IVはスプリングカメラの円熟期に登場しただけあって使い勝手がかなり良くなっているそうですが、発売された頃はすでに35mm判がメインの時代。そのため製造台数が少なく、プレミアがついているらしいです。
個人的には一度使ってみたい機種の1つですが、なかなか出会えません。
出会えても買えない金額かもしれませんが
Pearl IIbの魅力
それではPearl IIbを実際に使って感じた魅力をご紹介します。
コンパクト!
中判フィルムカメラといえば、これまで紹介してきたMAMIYA RB67やZENZABRONICAたち、また人気のPENTAX 645や67など、大きくて重いカメラが多いです。35mmフィルムと中判フィルムの面積差を考えれば仕方がないことなのですが、諸々込みで2〜3kgになってくると気軽に持ち出す気持ちにはなりにくいですよね。
フィルム面積が大きいから仕方ないけど、デカいっす…
その点Pearl IIbは、もともと小さいうえにボディにレンズを収納できます。その際には文庫本より小さくなり、非常にコンパクト!コートのポケットに収まるサイズになります。また、重さは少しズッシリ感があるものの600g程度。こちらも中判フィルムカメラとしてはかなり抑えめですね。
カメラは持ち出さなければ意味がありませんから、これはとても大きなメリットだと思います。
レンズが保護されるのも安心ですね
描写が良い
いくら持ち出しやすくても、撮れる写真がイマイチだと意味がありませんよね。Pearl IIbはそのレトロな見た目とは裏腹に、描写がとても良いんです。
コニカのレンズは総じて評判が良いですが、Pearl IIbも例外ではありません。搭載されている「Hexar 75mm F3.5」も、銘玉に数えられるレンズの1本です。しかも、Pearlシリーズは中判フィルムカメラ。35mmフィルムカメラとは一味違った、空気感のある描写を見せてくれます。
正直あまり期待していなかったのですが、現像から上がってきた写真を見たときに「こんなに写るんだ!」と驚きました。
発色が良い印象です
見た目が良い
あとはやっぱり見た目が良いですよね。
フィルムカメラ自体レトロな見た目のものが多く、オブジェとしても人気があると思いますが、その中でも一際存在感があるタイプだと思います。雰囲気でいえば、二眼レフと双璧ではないでしょうか。
使用する上で特段メリットはありませんが、テンションが上がる見た目というのは僕にとってとても大事なポイント。ルックスが気に入らないと結局使わなくなってしまいますからね。
個人的には、フード付きのスタイルが好きです。めちゃくちゃカッコいい。
ただこのままだとレンズがしまえませんので、つけ外ししないといけません。つけ外しも、ねじ式なので面倒なのが残念…。
どの角度から見てもかっこいい!
Pearl IIbのイマイチなところ
続いて、イマイチだなと感じるところもご紹介します。
デリケート
1つ目は、とてもデリケートなカメラだということ。1951年の発売から60年以上経っているわけですから、やはり各所に不具合を抱えている個体が多いと思います。
特に、レンズとボディを繋いでいる蛇腹。スプリングカメラのアイデンティティとも言えるパーツですが、材質的にも構造的にも、ここがダメージを受けやすいんですね。穴が空いたり破れたりすると光が漏れてしまうので、撮影結果にも関わります。購入時に1番気をつけるべき箇所と言えるでしょう。
また使用時には、収納状態からレンズを出す際にバネの力でレンズが飛び出てくるのを、手を添えて優しく介助してあげる必要があります。逆に収納時には、ピントリングを無限遠(1番縮んだ状態)にしないといけません。
さらに、この時代のカメラではあるあるですが、高速側のシャッターも負担が大きいのであまり使わない方が良かったりします。最高速で1/400秒と現代では物足りない上に、さらに1段遅くするとなると、なかなか厳しいものがあります。
優しく付き合ってあげましょう。
シャッターショックが小さいので、低速は比較的ブレにくい
不便
先に書いたように、Pearl IIbは60年以上前に誕生し、構造上とてもデリケート。それもあって、便利なカメラではありません。
レンズを優しく取り出し、露出計がないので明るさを別で測り、シャッタースピードと絞りをリングで設定、ピントを合わせてやっと撮れます。プロセスは他のフルマニュアルカメラと変わりませんが、形状のせいかなんとなく使いにくい。慣れもありますが、35mmフィルム一眼レフなんかは操作がしやすいんだなと感じますね。
軍艦部のボタンは蓋を開けるためのもの
シャッターボタンは蓋の方にあります
とはいっても、距離計が連動したりシャッターの最高速度が上がったりと、先代のPearl Iから着実に進化しているのも事実。さらに古い機種や大判カメラなどのもっと手間のかかるカメラに比べれば、撮影しやすい機種ではあると思います。
そもそもこのカメラに便利さを求めるのもどうかと思いますし、僕はその不便な撮影手順を楽しむぐらいの気持ちで使ってますね。手がかかるけど、それが楽しい。
また、本体にストラップを付ける金具がありません。専用の革ケースがあれば良いですが、僕は持っていないので三脚穴に取り付けるタイプのハンドストラップを使用しています。
金具だけの商品なら好きなストラップがつけられますね
注意した方が良いのは、多重露光防止がないこと。Pearl IIbはフィルムの巻き上げが赤窓式であり、自動巻止めがありません。そしてシャッターチャージが別なので、フィルムを巻き忘れて撮影すると多重露光になります。僕も何回もやらかしました…。
良い感じになることもありますが、基本的には意図していないもの。撮る前か撮った後か、巻き上げのタイミングをどちらかに決めておくのが良いでしょう。
フィルムの失敗あるあるのひとつ
作法をきっちりすれば問題なし
作例
いずれも自家スキャンして調整しています。
本来の鮮鋭さや色味とは異なるかと思いますので、あらかじめご了承ください。
まとめ
というわけで今回は、レトロな中判フィルムカメラ「小西六 Pearl IIb」をご紹介しました。
登場から60年超、クラシックすぎて本当に使えるのかと思ってしまうようなカメラですが、撮ってみるとまだまだ使えることがわかりました。もちろん、年代物の中古カメラなので状態の見極めが必要だったり、撮影時に手間がかかったりします。ただ、テンションが上がる見た目と、自分で操作して撮る充実感があります。
これは趣味にとって、とても大切なポイントではないでしょうか。
スプリングカメラは他にもいろいろありますが、名機といって差し支えないだろうPearlシリーズ。その中でもPearl IIやIIbは割と見かける機種で、入手性も高いと思います。状態の良い個体に出会えたら、ぜひ使ってみてほしいですね。
ではまた。
シャッタースピードが速くないので、低感度がおすすめ
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