どうも、ぼんしゅー(@bonshuuuuu)です。
FUJIFILMのラージフォーマットカメラ、GFXシリーズ。
その真価を発揮するのは純正レンズですが、そんなにほいほい買えないという方(僕です)、純正には使いたい焦点距離や明るさのレンズがないという方、手軽に様々な写りを楽しみたいという方も多いのではないでしょうか。そんなGFXユーザー、また検討中の方々の強い味方といえば、オールドレンズですよね。
中判カメラのレンズはもちろん問題なく使用でき、35mmフォーマットのレンズでもラージフォーマットの使用に耐えうるものがあります。
そこで気になるのが、実際の描写や周辺減光・ケラレといった写りの面と、装着した時のスタイル、そして使い勝手ではないでしょうか。
というわけで、僕が実際にオールドレンズを使ってみてわかったことや印象をご紹介するシリーズ、題して「GFX × オールドレンズ」。
今回使用するレンズは、「smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited」です。
それではどうぞ。
使用する機材
カメラボディ:GFX50SII
マウントアダプター:K&F CONCEPT
レンズ::smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited(35mm判換算約25mm)
このレンズについて
FA Limited。それは他社ユーザーでも評判を耳にしたことがあるほどのPENTAXの銘玉たち。フィルム時代に登場した3本のFA Limitedレンズは、三姉妹と呼ばれ愛されてきました。

その中でも三女のFA 31mm F1.8は、PENTAXレンズのラスボスとまでいわれるほどの評価をされていました。価格的にも3本の中で最も高価で、当時で考えると他の単焦点レンズと比べてもかなり高かったのではないでしょうか。そういう意味でもラスボスだったのかもしれないですね。今ではレンズ全体の性能が上がり、価格帯も高くなっているのでそこまで目立つほどではありません。
こちらのFA 31mm F1.8も、ほかの2本と同様にHD化されてより性能がアップしました。
僕が購入したのは旧バージョンで、在庫がまだ残っていたので新品を選びました。購入価格は約8万円と、旧バージョンとはいえまだまだ良いお値段でしたね。
外観
それではGFX50SIIに装着してみましょう。
FA Limited三姉妹の中では最も大きく重いレンズで、存在感も大きいですね。若干フロントヘビーになり、簡単に前に倒れてしまいますのでご注意を。
見た目は個人的にはかなり好みです。フードが一体型で質感も良く、トータルのバランスがいいと思います。


そんなフードですが、ビジュアルにはいいもののなかなかの曲者。FA 31mmはフルサイズ用のレンズなので、当然フードもフルサイズで最大限効果を得られるように設計されているはず。調べればすぐに出てきますが、フォーマットの小さなAPS-Cセンサーでは遮光効果が十分ではないとされ、ウエポン化というフードの伸張が行われているようです。
フルサイズより大きなラージフォーマットセンサーではどうかというと、固定式のフードはケラレや周辺減光などに影響してしまうかも。ウエポン化のようにフードを伸ばすことはできても、削ることは簡単ではありません。想定されている用途もメーカーも異なるので仕方ありませんが、着脱式であればよかったのになと思います。


また、フードが円形ではなく花形なので、適正な位置が決まっているわけですね。GFXに装着する際は他社製のマウントアダプターを介してになりますが、精度が高くないと適正な位置で固定されません。あいにく僕が使っているマウントアダプターも若干ズレが生じており、カチッと固定できるまで回すとレンズが左に傾いてしまいます。他のレンズは円形フードなので気になりませんでしたが、FA 31mmだとズレが目について気持ち悪いですし、やっぱりちょっと左上側の方が減光が強いように感じてしまいます。対策として、撮影時にはレンズを最後まで回し切らずに使用していますが、しっかり固定されていない状態に。簡単に外れるような感じはしませんが、落下等のトラブルは怖いです。


周辺減光・ケラレ
続いてはGFXで使用する上で最も気になるところ、周辺減光やケラレについて見てみましょう。
絞り開放


F5.6


はい、いかがでしょうか。
絞り開放ではさすがに盛大に光量落ちが見られます。四隅もかなり黒くなっており、影響大ですね。鏡筒やフードがケラレているようには見えないですが、レンズのイメージサークルが足りない場合にこのような周囲の減光とケラレが生じるようです(※本記事のコメントにて教えていただきました)。
F5.6になると減光が少なくなり、均質性がかなり向上しますね。ただ、やはり四隅の暗さは残っており、空などを撮るとかなり目立ちます。最短距離になると四隅の暗さが目立たなくなります。ここまでいけばセンサーをフルで使えそうです。…絞って最短距離で撮影するかと言われると微妙ですが。
さらに今回は広角ということで、使用が想定される、より絞った状態の無限遠も載せておきます。


F8はさらに暗い部分が少なくなり、画質としても良い感じですね。F11になるとさらに暗さは改善されますが、全体が暗くなってしまい逆に微妙かも。風景を撮るならF5.6〜F8あたりが良さそうですね。
印象
それではGFX50SIIで使ってみた感想を。
まず伝えたいのは、GFX x FA 31mmは便利で楽しいということ。
やっぱり広角レンズってパースが効いた写真が撮れて、使いこなしが難しいけどおもしろいですよね。GFXでの広角はそういった画角的なおもしろさに加え、ラージフォーマットセンサーが捉える情報量に圧倒されます。

純正ではGF30mm F3.5がほぼ同じ画角になりますが、約20万円と高価で開放F値も2段ほど差があります。機能・性能が良いのはわかっていますが、旧FA Limitedなら三姉妹が揃ってしまう価格を考えると手が出しづらい。
FA 31mmはFA Limitedの中でも最後発で、より現代的な写りになっています。またリニューアルを経つつ販売され続けており、今でも現役のレンズ。他の2本よりおもしろみが劣る気もしますが、ラージフォーマットならそのきっちりした範囲の外側まで見ることができて、そういった点でも悪くありません。

何気に最短撮影距離が0.3mと短く、レンズとアダプター分で考えるとレンズ先端から0.2mぐらいまで寄ることができ、ダイナミックな表現もできます。そこにF1.8の明るさとフォーマットの大きさが加わって、ボケもしっかり使えちゃう。最短まで繰り出すことで周囲の暗さも気になりにくくなりますし、フルサイズ用広角レンズとしては大健闘と言っていいのでは。


風景やスナップはもちろんですが、室内での使いやすさが個人的には特に嬉しいですね。画角・描写的に建築写真に使うにはさすがに厳しそうですが、テーブルフォトや店内の撮影などにはちょうど良いです。これまではGF35-70mm F4.5-5.6を使っていましたが、換算28mmだとちょっと狭い。また開放F4.5だとシャッタースピードが遅くなりがちで、手ぶれ補正が優秀とはいえ気をつけないといけませんでした。FA 31mmはそうしたところに応えてくれ、しかも良い雰囲気に仕上げてくれる。トリミング耐性も高いので、とりあえず広く撮っておけばなんとかなりますしね。見た目や質感も良く、常用レンズになるぐらいのお気に入りになりました。


弱点を挙げるとするなら、周辺の歪みが出やすいところですかね。もともと写るはずのない範囲なので仕方ないですが、直線状のものを四隅に持っていくとガッツリ曲がります。その辺りは使い方でうまく回避してあげる必要があるでしょう。

あと、これはFA Limitedレンズをよく使うようになったからですが、フォーカスリングの軽さがちょうど良い。ねっとり重めのフォーカスリングは精密にピントを追い込んでいくのに良いのですが、ちょっとのんびりですよね。FA Limitedはヘリコイドの重みは感じられませんがスカスカなわけではなく、そこそこの感触でサッと回せて便利。好みが分かれるポイントだと思いますが、個人的には高評価です。
作例












まとめ
というわけで、GFX × オールドレンズ、今回は「smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited」をご紹介しました。
三女を迎え、ついにLimited三姉妹が揃いました。いやぁ、やっぱりこの3本は良いですね。
FA 31mmは長女、次女に比べると実用的というかクセは少ない印象ですが、質感や立体感は十分。さすがにイメージサークルが足りていないため四隅の暗さや画質の低下はありますが、繰り出しで多少改善されることもあり、GFXでも十分使えるレンズだと思います。
フィルムシミュレーションとの相性も良く、持ってて嬉しい、使って楽しい銘玉。あなたもこの魅惑のレンズを体験してみませんか?
ではまた。
ぼんしゅーこっちの方がいいかもしれません










コメント
コメント一覧 (3件)
最近GFXに興味が出てきて色々なYouTubeや blogを見て勉強してました。
こちらのblogも参考にさせていただきました。
ただちょっと気になった表現があります。
「レンズの周辺光量は落ちてはいるがケラレていない」という表現です。
レンズのイメージサークルというのはご存知でしょうか?
レンズが結像面でどれくらいの範囲をカバーするかという範囲を示すものです。
APS-C用レンズであればAPS-Cのセンサーを丸々カバーするだけの直径がありますがフルサイズはカバーできない(中にはカバーできるものもありますが)
フルサイズカメラにAPS-Cレンズを使うと四角が黒くなることが多いですが、通常それをケラレと呼んできました。
物理的にセンサーをカバーするだけのイメージサークルがないわけなので。
なのでこのブログのケラレないレンズ一覧や記事を見て、あの状態を「ケラレない」というのはとても違和感がありました。
このページの作例でカモメが並んでいる写真がありましたが、四角が少し黒いですよね。
あれは紛れもなくケラレです。
GFXのセンサーをカバーするだけのイメージサークルがないから黒くなるんです。
イメージサークルは開放で1番小さく1番絞りを絞ると1番イメージサークルが大きくなります。
開放で撮影すると周辺光量が落ちるのはそのせいです。
絞るとイメージサークルが大きくなるので画面全体の均一性が増すのです。
4×5や8×10などの大判カメラに使うレンズのカタログにはイメージサークルが必ず書いてあります。
このレンズはどのフィルムの大きさまでカバーできるのか。レンズをあおれる余地がどれだけあるのかを知るためです。
大判レンズのデータシートに載っているイメージサークルの値はf22まで絞った時の値が記載されています。
開放で使えば周辺が落ちるのはイメージサークルが小さいからです。
f22まで絞って初めて画面全体の範囲がカバーされる。(なので均一感が増す)
https://www.sony.jp/camera-biz/knowledge/basic_knowledge03/?srsltid=AfmBOopREXzziE0BwVVcSYUNwbb_TTfhn88wgZUZ-7GK0uTUdrxZuvOh
↑こちらにも記載されてますね。
通常ケラレとはフィルターとか鏡胴など物理的に遮られているものという表記が多いですが、イメージサークルが足りていないで四隅が黒くなることもケラレると言います。
そのレンズがセンサー全体をカバーするだけのイメージサークルを持っていないわけですから。
「ケラレない」というのであれば、目一杯絞りを絞って検証する必要があるとおもいます。
絞ればもっと黒い部分のエッジがハッキリしますからね。
参考までに。
(メールアドレスはダミーです)
追記
ちょっと気がついたのですが、白い壁を撮った写真。
f8で撮った写真よりf11の方が黒い部分が目立ってますよね。
イメージサークルがカバーしていれば周辺滅光は改善しているはずです。
これはイメージサークルの境界が絞ったことによってハッキリしてきたからですね。
ですから、光学的に、物理的にケラレている証拠です。
ですから周辺の光量は落ちるけどケラレていないという表現は間違いだと思います。
完全に四隅に黒っぽいものが残るのであれば、それはケラレです。
コメントは別に表示されなくても返信されなくても結構です。
あなたに伝われば。
GFX所有の方にとってはとても有益なブログなだけに、「ケラレない」という勘違いの言い切り表記だけ残念に思います。
ネコさん
コメントありがとうございます。
まず、コメントに気付くのが遅くなり、私からの返信、コメントの表示、記事の修正が遅くなり、失礼いたしました。
コメントにていただいた「イメージサークルの不足によるケラレ」というのは私自身よくわかっておらず、誤った表記を掲載し続けておりました。
今回のコメントを踏まえて、該当箇所だけでなく他箇所も修正を行いました。
詳しく教えてくださり、ありがとうございます。
また、イメージサークルによるケラレに関しては「目一杯絞った状態で検証する必要がある」とのことですが、残念ながらGFX本体および記事にしたレンズのほとんどを手放しているため、それは叶いません。
あくまでアマチュアの趣味人が、自分で試したものをまとめた記事、であることをご理解をいただければと存じます。