どうも、ぼんしゅー(@bonshuuuuu)です。
使ったことのあるフィルムカメラを紹介する、フィルムカメラレビュー。今回は可愛さとカッコよさのバランスが絶妙な「Nikon F80」をご紹介します。
パッと見た感じはデジタル一眼レフと変わらず、親しみやすく高機能な良いカメラですよ!
それではどうぞ。
Nikon F80とは
早速ですが、Nikon F80がどういうカメラかをまとめておきます。
時はすでにデジタルカメラが登場した2000年。フィルムカメラは円熟期を迎え、CanonのフラッグシップであるEOS-1Vや、MINOLTAのα-7が登場した年です。錚々たる並びですね。Nikon F80は、これらのカメラと同様に高機能が詰め込まれた中級機として登場しました。
バリエーションとしてF80DとF80Sが作られましたが、僕が持っているのはF80Dとなります。
違いとしては、F80Dがデート機能(日付を写し込める)のみなのに対して、F80Sはコマ間データ写し込み機能も搭載されています。これは、撮影したコマとコマの間に絞り値やシャッタースピードなどの情報を記録できるというもの。デジタルカメラのExif機能のような感じですね。
見分けるには背面を見ます。F80Sには、コマ間データ写し込み用のダイヤルがあり、オレンジの文字が入っています。
電源はCR123Aが2本必要です。
Nikon F80の魅力
それでは、実際に使って感じたNikon F80の魅力をどうぞ。
充実した機能
まずは機能面。文句の付けようがない内容となっています。簡単に見ていきましょう。
- AFあり
- シャッタースピード 1/4000秒
- Pモードあり
- 自動巻き上げ、自動巻き戻し
- フラッシュ内蔵
- 視度補正可
いかがでしょうか。
さすが、2000年発売だけあって至れり尽せりですよね。特に、視度補正機能が搭載されているのは凄いと思います。
それまでのカメラでは、視度補正をするには視度補正レンズを別途購入し、ファインダー接眼部に装着する方式でした。発売当時は手に入れるのも容易だったと思いますが、今となっては簡単に見つからない部品になっていると思います。
F80はファインダー横のスライドスイッチで、3段階調整が可能です。ファインダー内の情報が見にくい場合は、こちらを触ってみてください。
視力が低いので助かります
さらに、スクリーン交換なしで方眼に切り替えが可能。これには驚きました。
それまでのカメラではスクリーンも交換制で、何種類か用意された中のひとつに方眼がラインナップされているといった形でした。スクリーン交換はファインダーやミラーに関わる部分のためデリケートで、マウント側からアクセスする機種はなかなか大変なんですよね。
この機能を使う・使わないは別として、画期的だなと思いました。
AFの速度や、最高シャッター速度など細かいところは上位機種に敵いませんが、それでも十分なものになっています。
絶妙なデザイン
あと、デザインが素敵ですよね。
エントリー機ほどナヨっとしてなく、F100ほどいかつくない。一眼レフとしての雰囲気がしっかり感じられる、絶妙なデザインだと思います。
個人的にはもう少しガッシリしたカメラが好きですが、これぐらいの方が使いやすいという方も多いでしょう。発売当時は中級機という位置付けでお値段もそこそこでしたが、今となっては数千円と、エントリー機と変わらない価格帯。初心者の方の最初の一台にもおすすめできると思います。
軽い
軽いということもF80の良いところのひとつです。見た目は重厚ですがプラスチック製で、電池込みでも600g未満。グリップもしっかりしており、持ってみるととても軽いんですね。
重いカメラばかり使っている僕が言っても説得力がありませんが、カメラは持って出ないと意味がないため、軽さというのは重要なポイント。特にカメラ初心者の方だと、持ち出すのが億劫になって結局使わなくなってしまうというのは、良く聞く話。F80なら、その点については心配ないのではないでしょうか。
ただし軽い分、大柄なレンズだとバランスが崩れてしまうと思います。コンパクトな標準ズームや単焦点などが似合うカメラですね。
小型のレンズがマッチしますね
Nikon F80のイマイチなところ
続いて、F80を使って感じたイマイチな点を挙げていきます。
シャッター音がやわい
F80で気になったところのひとつ目が、シャッター音。言葉で表すなら「シャワッ」て感じで、どうにもキレが良くありません。
シャッター音は、撮影のリズムや写欲に関わる重要なポイントだと個人的には思っています。F100なんかは「バシャッ」というキレの良いシャッターフィールで、「撮ったぞ」って感じがして気持ちが高まるのですが…F80だと撮るたびに気が抜ける気がします。
操作は全てコマンドダイヤル
また、F80の操作については全てコマンドダイヤルにて行います。撮影に影響する部分ではなく、デジタルカメラを使用している方にとっては操作が共通しているというメリットでもある。
ただ、趣味カメラとしては面白みに欠けるかもしれないなと感じたので、イマイチなところとしてピックアップしました。カメラではなくフィルム写真を楽しみたい方には、まったく問題ないポイントです。
天面はシンプルです
装着できないレンズがある
F80のイマイチなところ3つ目は、レンズの互換性です。
Nikonといえば「不変のFマウント」と言われていますが、時代によって様々な変更・改良が加えられています。
F80については、デジタルに使うような新しいレンズ(Gレンズなど)は問題なく使えますが、逆にAFでない古いレンズがカバーしきれていません。Aiレンズは露出計が作動しないだけなのでマニュアル撮影で対応できますが、より古い非Aiレンズは装着できないか、できても取れなくなったり壊れたりする可能性があるそうです。
歴史がある分複雑なので、初心者の方には難しいポイントかなと思います。
裏蓋やグリップにベタつきが出ている場合がある
そして、この時代のカメラあるあるですが、加水分解によってベタつきが発生している場合があります。
カメラ専門店ならきちんと管理や清掃してくれているかと思いますが、リサイクルショップなどではそうはいきません。僕はリサイクルショップで購入したのですが、ベタベタな上にホコリまみれでそれはもう酷かったです。
清掃についてはポラックさんのnoteを参考に、無水エタノールで根気よく拭き、ベタつきが取れたらシリコンスプレーで拭き上げて綺麗にしました。
手間もかかるし大変なので、可能であれば綺麗な個体を扱っているお店で購入するのをおすすめします。
その他、質感やファインダーの見え具合など、気になるところはいくつかあります。ただこれは、僕が上位機のF100やフラッグシップのF4を使っているから気になってしまうのかも。F80単体での評価ではないので、詳しく書くことはやめておきますね。
感じたこと
よく言われていることですが、フィルム一眼のボディはただの暗箱。レンズとフィルムが同じなら、どのボディでも同様の写りをするので、ボディによる違いはないと言われています。確かに、マニュアル撮影などで条件を揃えれば同じように写るでしょう。でも、僕はやっぱりボディによって違いが出てくると思います。
機能面では、たとえば測光の性格。Nikon F3のような中央重点測光と、新しめの機種のマルチパターン測光では、撮り手が同じように撮っても違いが出るのではないでしょうか。
またシャッタースピードの最高速度も、1/1000秒までのカメラと1/8000秒のカメラとでは、絞り値の選択の自由度が違いますよね。
そして、今回Nikon F80を使って感じたことがあります。それは、軽量なAF機は撮影テンポが良く、撮りたいタイミングに応えてくれ、撮影する者の気持ちも軽やかになるということ。
普段、露出計も搭載されていないようなフルマニュアル機を使っているので、フォーカスも巻き上げも自動のF80はとても快適。「あっ」と思った瞬間を収めることができます。
それだけなら同じくAFで自動巻き上げのあるF4でもF100でもいいのですが、F80はボディの小ささ・軽さがポイント。上位機種は撮るぞって構えてしまう感じがありますが、F80だと自然に、カジュアルにシャッターを切ることができる気がします。
現像から戻ってきて、「良いな」と思えるカットがとても多かったのも、「(うまく)撮らなきゃ」という気持ちではなく「撮りたい」という気持ちにさせてくれ、それにスムーズに応えてくれたからこそかなと思いました。
まあでもこれは、いろいろカメラを使ったことで感じられるようになったことかもしれません。
「良い」と思える写真が撮れるカメラだと思います
作例
1ロール分ですが、好きな写真がいっぱいだったので作例多めです!フィルムはKodak GOLD200です。
まとめ
というわけで、フィルムカメラレビュー、今回は「Nikon F80」をご紹介しました。
自動化が進み、現代的な操作感で使える良カメラ。特にNikonのデジタル一眼レフをお使いの方なら、なんら違和感なく使えると思います。機能的にも十分で、どんなシチュエーションでも困ることはないでしょう。
中級機として登場しましたが、今となっては可哀想なぐらい安価になっているNikon F80。フィルムを始めたい方にはファーストチョイスとしておすすめできる一台だと思いますし、僕みたいにカメラ沼に浸かった方には写真を楽しむことを思い出させてくれるカメラだと思います。
状態の良い個体に出会えたら、手に取ってみてはいかがでしょうか。
ではまた。
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