どうも、ぼんしゅー(@bonshuuuuu)です。
使ったことのあるフィルムカメラを紹介する、フィルムカメラレビュー。
今回は、独創的な中判フィルムカメラを数多く送り出したZENZABRONICAの中で、唯一の6×7判、ZENZABRONICA GS-1(以下GS-1)をご紹介します。
ZENZABRONICAがこれまで蓄積してきた技術を結集し、使いやすく洗練された機種として仕上げたGS-1。フィルムカメラの円熟期に登場したこともあって影が薄くはありますが、ブロニカ好きの僕としては外すことができない1台。あまり見かけることはないと思いますが、とても気に入っているカメラです!
それではどうぞ。
GS-1とは
GS-1は、独創的な国産中判フィルムカメラで知られるZENZABRONICAが送り出した、6×7判の中判フィルムカメラ。
ZENZABRONICAといえば、6×6判のS2が有名でしょうか。ハッセルブラッドのような外観、機械式でフォーカルプレーンシャッターを搭載、でっかいシャッター音、複雑な機構など、個性的でユニークなカメラです。
そこから、同じマウントで電子制御のECシリーズが登場。
そして、レンズシャッターでデザインも一新されたETR(6×4.5判)、SQ(6×6判)シリーズへと移行していきます。このレンズシャッター機の系譜を受け継ぎ、満を持して登場したのが6×7判のGS-1。
このあとレンジファインダーのRF645が登場しますが、既にブロニカがタムロンに吸収合併されており、GS-1がZENZABRONICAとしての最後の機種となりました。
ざっくりですが
GS-1を購入した理由
さて、GS-1を購入した理由について書いていきたいと思います。
ラージフォーマットの絵づくりにも慣れ、GFXシリーズの拡充を誓った2023年。それなのに僕はGS-1を手にしていました。なぜここに来て中判フィルムカメラなのか。
フィルムの廃盤や高騰
まず大きかったのは、フィルムを取り巻く状況について。
このブログをご覧になっているということはフィルムカメラに興味がある方だと思うので、きっとご存知でしょう。この1、2年でフィルムを取り巻く状況はかなり悪くなってしまいました。
定番の銘柄が相次いで廃盤になり、残ったものも値上がり&供給不足。大手家電量販店やカメラ専門店の棚はガラガラで、残っていても1〜2種類ぐらい。僕がフィルムを始めた当初(3〜4年前ぐらいですかね)も値上がりしたと言われていましたが、それでも今のようなことはなく、本当に危機的な状況だと感じます。
そんな流れを目の当たりにしてきて、「どうせ撮るなら1枚あたりの満足度が高い中判、それもできるだけ大きいフォーマットで」と考えるようになりました。
6×7判への憧れ
中判といっても複数のフォーマットがあるわけですが、個人的に6×7判には憧れがあります。フィルム面積と撮影枚数のバランスがいいのはもちろん、なんと言っても名機が多いですよね。PENTAX 67やmakina 67、FUJIFILM GF670など、なかなか手が出せない憧れのカメラたちが名を連ねています。
肝心の写りについても、35mmフィルムとの比較は言うまでもなく、6×4.5判と比べても数段上(個人の感想です)。それは写真館で活躍した6×7判の名機の1つ、MAMIYA RB67を使って実感したことでした。
空気感はどちらも素晴らしいですが、
描写の繊細さに差が出る気がします
用途と機能
そう、6×7判についてはすでにRB67を持っているんですね。その上でGS-1を追加したのは、用途と機能の面でとても魅力的だったから。
RB67は機械式のフルマニュアルカメラで、絞り優先AEなど撮影を便利にしてくれる機能はありません。また、三脚に据えたまま縦横画面の切り替えができる画期的なレボルビングバックシステムを備えているのですが、その分大きく重いんです。写真館での使用に適したシステムなので、三脚に据えてじっくりと構図やピントを追い込んでいくのに向いているでしょう。
しかし、僕がフィルムカメラを使うのは外出したときばかりで、今でも三脚を持っていません。そのため、RB67の機能の恩恵はそこまで感じられず、サイズと重さのデメリットの方が大きかったんですね。
その点GS-1は、RB67と比較して小さく軽く、取り回しがしやすいです。さらに、多少重くはなりますがファインダーを交換することで、絞り優先AEでの撮影が可能!表示もわかりやすく、非常に使いやすいです。
あちこち持ち出すという用途を考えると、GS-1のサイズや機能は大きなポイントでした。
ブロニカが好き
また、先にも書きましたが6×7判には魅力的なカメラがたくさんあります。いつまでフィルムを使えるかわからない今の状況なので、高価とはいえ思い切って名機を迎え入れる選択肢もありました。
それでもGS-1を選んだのは…やっぱりブロニカが好きだからですね。ブロニカとの出会いは6×4.5判のETRSから始まりましたが、これが本当に良い撮影体験と結果を出してくれました。その後追加した6×6判のEC-TLも、ウエストレベルファインダーのまま絞り優先AEが使えるという独創的かつ便利な機能を持っており、使っていて楽しいカメラです。
そんなブロニカ唯一の6×7判、選ばない理由はありませんでした。
ブロニカ大好き!!
GS-1の気に入っているところ
前段が長くなってしまいましたが、ここからは実際に使用して気に入っているところをご紹介します。
軽くて小さい
まず嬉しかったのは、思ったよりも軽くて小さかったことですね。なんせ比較対象が重くて大きいRB67なので、その差は歴然。首や肩への負担がまるで違います。デザイン的にもGS-1の方が丸く、体への当たりが優しいです。
さすがに6×4.5判のETRSよりは大きいものの、持っている感覚としては正直変わりません。それでいてしっかり6×7判で撮れるので、嬉しい限りです。
焦点距離を揃えたので、ETRSが不利な比較になっちゃいました…
システムがわかりやすい
また、システムのわかりやすさも気に入っています。
同じZENZABRONICAで6×4.5判のETRシリーズだと、ボディもレンズも多くの種類があってそれぞれ仕様が異なるため、見分けたり選んだりするのに苦労します。大抵どれでも問題はありませんが。
その点、ZENZABRONICA唯一の6×7判カメラであるGS-1は、後継機なども登場しておらず、システムが完結しています。ボディも1種類、レンズも各焦点距離に1種類のみなので、迷うことがありません。簡潔!
使っている人が少ない(いない)
そして、ZENZABRONICA全般に言えることですが、使っている人がめちゃめちゃ少ないです。
6×6判の人気機種、S2なんかは作例も豊富に見つかるのですが、GS-1はほぼありません。つまり、他の人と被ることがないんですよね。こういうニッチなブランドとか製品って萌えませんか?
ただ、情報がなさすぎると最初に動作を確認する際や、困りごとが起きた際には困ります。
今回も届いたときに各所のボタンやらレバーやらを触りながら、手探りで使い方を模索していきましたが、なかなか難航しましたね。結果使えるようになったからオッケーですけど。
安心感がある
GS-1はZENZABRONICAでは最後発で、箱型(いわゆるハッセルブラッドスタイル)としては最後に開発された機種。1983年4月から2002年6月まで販売されており、状態の良い個体が見つかる可能性が高いと思います。
また、ETRシリーズやSQシリーズで培ってきた技術が結集した機種なので、それまでの不便な点がほぼ解消されています。特に、スピードグリップの接続やAEファインダーの表示などはETRSに比べてかなり進化しており、現代的で使いやすくなりました。実際に使うと大きな差を感じたポイントです。
GS-1のイマイチなところ
好きなところをいつも以上にたっぷり書いてしまいましたが、イマイチだなと思うところも一応書いていきます。
明るいレンズがない
個人的にはこれが唯一残念なところですね。
GS-1用PGレンズの基本的なラインナップでは、標準レンズの100mm F3.5が最も明るく、他はF4からとなっています。一応80mm F2.8というレンズはありますが、なんと公式HPに掲載されていません。数も少なく、見かけることがほぼないので幻みたいな感じでしょうか。
ボケに関しては6×7判なのでこれでも十分ですが、数値的な見た目やシャッタースピードの面ではやはり物足りない感じがしちゃいますね。
その点、PENTAX 67なんかは100mm F2.4という明るいレンズがありますよね。こっちはその描写も評価されている銘玉ということで、良いレンズがあって羨ましいです。GFXに装着して使っている方も多いので、尚更気になる1本ですね。
敬愛するニシムラタクヤさんも使ってますね
重い
先ほどは軽いと書きましたが、それはあくまで比較した場合の話。絶対値としての重さは、基本的なセット(ウエストレベルファインダー)で約1.8kg、カスタム(AEファインダー、スピードグリップ)で約2.6kg(RB67と同等)とそこそこあります。
とはいえ、ボディデザインのまとまりが良いからか、持ち運びの際には数字ほどの重さを感じません。スピードグリップも握りやすいので、個人的にはあまり気にならなかったです。
撮影枚数が少ない
フィルムの高騰が進んだ現在、6×7判の10枚という撮影枚数は少ないですかね。これはフォーマットサイズとのトレードオフなので仕方ありません。描写よりもコスパを取るなら、15枚撮れるETRSや12枚撮れるEC-TLなどがあるので、使い分ければいいかと思っています。
この2つはどちらも事前に分かりきっていた当然の内容で、不満と言ったら怒られちゃいますね。逆にいえば、それぐらいしか浮かばなかったということでもあります。
非常に完成度の高い機種で、フィルムカメラを整理する時がきても最後まで手元に残しておきたいぐらい気に入っています。
作例
まとめ
というわけで、フィルムカメラレビュー、今回はZENZABRONICA GS-1をご紹介しました。
すみません、思いが強くてかなり長々と書いてしまいました。
ETRSから比べ、デザインや使いやすさが数段進化、洗練されたGS-1。初中判フィルムカメラとして迎えたETRSには特別な思いがありますが、ETRSを使い込んだ分GS-1の良さがよくわかりました。GFレンズを見送って迎え入れたのは、間違いではなかったと思います。フィルムで撮り続けられる限り、使っていきたいですね。
個人的に中判フィルムカメラの決定版といえる1台。もし何かのタイミングで検討することがあれば、自信を持っておすすめしたいと思います。また作例も増やしていきますね。
ではまた。
コメント